むだなことを一緒にしようよ

忘れかけてた魔法とはつまりJoy Joy!!

「〇〇ガチャ」それはきれいごとを突き放す辛辣な言葉である

いつもの言葉を哲学する/古田徹也

本書は、私たちの生活のなかで息づく言葉のありようや、その重要性、面白さ、そして危うさというものを、多様な観点から辿っていくものだ。

 

タイトルにあるように、

親ガチャ、子ガチャなどの言葉が生まれたことは、みなさんご存知であるだろう。

本書では、こういった言葉が生まれたことの意味を哲学している。

 

ガチャに対する筆者の哲学的考え方を引用すると・・・

彼らの手にはいつもスマホがあって、そのなかで回るガチャが、自分の人生の寓意になっている。これは、一歩引いたところから自分や社会を捉える諧謔であり、皮肉であり、同時に、深い諦念でもあるように思われる。

 

時代の変化を如実に表している言葉として、社会への警鐘を鳴らしていると私は感じた。

人生の真実を暴く表現としてもてはやされ、過剰な説得力を獲得し続けるだろう。

そのとおりである。

年齢を重ねることで考え方が変わること、年代によって考え方が違うこと、そういった社会の仕組みを「〇〇ガチャ」はまさに証明しているのではないか。

 

例えば、「ヤバい」が言葉として使用され始めたこと、意味が多様になってきたことも同じことが言えるだろう。

もちろん、「ヤバい」で完結することが良いかどうか、と言われればそれはまた別の問題である。

私個人としては、ヤバいの中に多様な意味があることは、日本語の特徴とも言えると思っており、察して文化の影響が大きいと考えている。だからこそ、文脈、その場の雰囲気で意味を掴めない文字だけでのやり取りでは齟齬が生じる。それが、現代における、SNSでのトラブルや問題にもつながっているだろう。SNS上では、どうしても前後が掴めず、断片的になるのである。

 

SNSが便利になってきた世の中だからこそ、言葉について考えていく必要があると筆者は考えているのではないだろうか。

 

もうひとつ、「やさしいことば」についても本書では提案をしている。

ろう者や外国人など、日本語が第二言語となる人たちにとって、意味が明確でわかりやすい日本語で書かれたものを見ることは大事なことである。

ただ、それを第一言語として自然獲得した日本人にとっても大事なものであり、「やさしいことば」を心がけましょう。となっていいのか?

それは本当に良いことなのか?みんなで考えていく必要がある。

 

私が本書で思わず頷いた部分は、

しっくりくる言葉を探し、類似した言葉の間で迷いつつ選び取ることは、それ自体が、思考というものの重要な要素を成している。逆に言えば、語彙が減少し、選択できる言葉の範囲が狭まれば、その分だけ「人を熟考へ誘う力も弱まる」ことになり、限られた語彙のうちに示される限られた世界観や価値観へと人々は流れやすくなる。

また、

自然言語の語彙の複雑さや曖昧さは、無駄で不必要なものなどではない。自分達の知識なり発想なりを優に凌駕するほど豊かな語彙の蓄積があること、そして場合によっては、言葉を新たに造り出したり、外来語を取り入れたりする創造性や柔軟性をもつことは、私たちが受け継いでいる〈生ける文化遺産〉としての自然言語の本質的な特徴なのである。

その通りだと私は思う。

私個人の話で恐縮だが、自身はろう者であり、手話を第一言語として自然獲得して育った。

学校では日本語を習い、今ではこのように文章をかけるまではなったが、語彙の数としては、やはり手話の方が多いし、柔軟性も、熟考する力も遥かに手話の方が上である。

そうした自身の経験も踏まえると、上述の引用部分は本当にそう思う!としか言いようがない文章である。

 

改めて、日本語の魅力、言語の魅力を本書では体感することができる。

考えることをやめない、そして言語に対するリスペクトが重要な鍵となるであろう。

考えることをやめなくするためには対話が必要である。お互いを尊重し、話し合うことのできる場が。

日本語ならそこらじゅうにあるのかもしれないが、手話の場合、場所がない。

そういった課題を解決していくためにも、以下のような哲学対話の場を設けたいと考えている人もいる。

philosophy-zoo.com

ぜひ、哲学を楽しんでいる様子を映像でご覧ください。

 

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